堀口和彦 著、光和堂 発行 ◆ 花粉症・アレルギー性鼻炎 季節の変わり目である春と秋。中でも二月の節分 から桜の花が散る頃までは、一番のアレルギーの季 節です。まだ、寒さは続きますが、木は芽吹き、地中では虫が動き 始めます。生物も一年の始まりです。自然界は、静から動へ、内か ら外へと移り変わる時です。身体も自然の一部です。発汗や充血が 起こりやすくなり、新陳代謝が高まり、皮膚や粘膜の働きが活発に なります。さらに、春の陽気は上から身体を温め、のぼせを起こし、 鼻や頭に症状を出しやすくします。そこに、多量の杉花粉が飛来し ます。充血しやすくなった鼻や眼の粘膜は、たちまち反応して、鼻 水やくしゃみが出て、眼が痒くなるのです。 ◆ アレルギー疾患は様々な原因が複合している
身体を外敵から守る免疫機能の乱れ、反応しなくてもいいものに
反応することがアレルギーです。では、どうしてアレルギーになっ
てしまうのでしょうか? 環境の変化は、体に様々な影響を及ぼし
ます。中でもアレルギー疾患は、最も機敏にその変化の影響を受け
ます。例えばアレルギー性鼻炎では、暖かい部屋の中から急に冷た
い外の空気に当たるだけでクシヤミが出ることがあります。このよ
うに環境の変化が鼻炎を引き起こすのです。花粉症でも杉花粉だけ
でなく、ディーゼル車からの排気ガスも関与していることが判って
きました。さらに、私たちの身体そのものも変化しています。それ
は、体を作る材料である食べ物が大きく変わってきたことです。ま
た、衛生設備の向上により感染症が減少するとアレルギー疾患が増
加するという報告もあり、発展途上国での罹患
状況からも肯けます。 ◆ まず食生活の改善を!
体質は、遺伝と生活習慣で作られます。遺伝子治療が研究されて
いますが、まだ実用化はかなり先です。そこで、今できることは生
活習慣を改善することです。その中でも、やはり食事は大きなウエ
イトを占めています。糖分・脂肪分・コレステロールを少なめにす
ることは、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症など)の予防に
も大切です。コーヒーやココアは体によい面もありますが、粘膜を
充血させるため、鼻や目、のどや気管などの粘膜が敏感なアレルギ
ー体質の方にはよくありません。さらに、唐辛子は最近ダイエット
によいと話題になっていますが、これも粘膜の弱い人には(痔にも)
禁物です。これらは経験的な注意点です。 |
◆ やはり食養生が大切!
貝原益軒は、養生訓で「飲食の養いなければ、元気うゑて命をた
もちがたし。元気は生命の本也。飲食は生命の養也。飲食は人の大
欲にして、口腹の好む処也。其このめるにまかせ、ほしゐまゝにす
れば、節に過て必ず牌胃をやぶり、諸病を生じ、命を失なふ」と記
し、嗜好や食欲にまかせてはいけないと云っています。では、どの
ような物を食べ、また、どのようなものを食べてはいけないのか。 ◆ 鼻づまり(蓄膿症/副鼻腔炎)もアレルギー
鼻づまりは風邪を引いた時など、だれもが一度は経験のあるもの
です。口で息をしなければならないので、日ごろ息苦しく、夜は寝
苦しく、朝にのどが腫れたり、仕事や勉強中は思考や集中力が低下
します。この鼻づまりの症状が慢性的あるいは季節の変わり目にな
ると毎年起こるような場合を蓄膿症あるいは鼻閉症と呼びまず。ま
た、一般に子供は鼻内の空間が狭く、特に副鼻腔というところで炎
症が起こり、鼻づまりを発症します。これを副鼻腔炎と呼びます。
花粉症やアレルギー性鼻炎の方は、蓄膿症に移行する場合がよくあ
ります。 ◆ 体質改善を応援する漢方薬・鍼灸
食生活の改善や食養生の大切さは理解しても、それを実践し続け
ることは至難の業です。養生訓が書かれた背景を察すると、実践し
ていない人が多いからこそ、貝原益軒はこの書を記したはずです。
そこで、漢方薬や鍼灸の力を借りて一緒に体質改善に取り組みまし
ょう。 発行所:光和堂薬局・鍼灸治療院・通所介護 〒331ー0073 さいたま市西区指扇領別所 326-1 TEL:048-625-6848 FAX:048-624-1663 http://www.kowado.jpn.com/ |