◆ 漢方で治すこころの病
病気(気が病む)の発想はもともと漢方由来です。「気」という言葉は、「気に
なる」とか「気を使う」など日常でも頻繁に使われます。漢方では「気」を生命の
源であるエネルギーと考えます。人間は食べ消化し、呼吸することによって、生命
エネルギーを作ります(後天の気)。また、出生によって親からこのエネルギーを
授かります(先天の気)。これらの生命エネルギーが「気」です。この気が十分に
存在し、全身に滞りなくめぐってはじめて健康な生命活動が営めます。
こころと体は一つとみる「心身一如」の発想が、東洋医学にあります。こころの
状態が、体や行動に現れます。漢方では、こころの病は「気」が変調をきたすこと
によって起こると考えています。
ここで気の病をいくつか紹介していきます。
◎気鬱(きうつ)
気が鬱滞すると、イライラ怒りっぽくなり、カッとなり、いわゆるキレる状態に
なりやすいのです。事件を起こす青少年の心境はこの状態ではないでしょうか?漢
方ではこのような気鬱の状態は肝のはたらきと関係が深いとされています。肝は現
代医学でいう肝臓のはたらき(血液浄化など)に加え、怒るといった感情を支配す
るはたらきを持っています。ストレスや食生活の乱れ(不規則な食事・スナック菓
子やインスタント食品の多食)は肝に負担をかけ、ある時発症します。
◎気虚(ききょ)
この症状は、だるい、いつも眠い、気力がない、あくびが頻繁に出るなどです。
このような気虚の状態は脾のはたらきと関係があります。漢方での脾は現代医学で
いう膵臓に相当し、食べた物の消化や吸収の調整をします。脾は思慮する感情と関
係が深く、些細なことを心配したり、気にしたりすることも脾のはたらきです。
◎気逆(きぎゃく)
冷えのぼせや動悸、めまいなどの症状で、気のめぐりが逆行して起こるものです。
このような状態では不安感が強く、何かに脅かされているような心境になります。