光和堂通信 第16号1999年夏季号(Vol.4,No.4) 1999.07.08
[予防と早期治療のために]

 今年の梅雨入りは、やや早かったようです。梅雨入りしたら急に暑さが続き、今度 は急に寒くなったりと、暑い日と寒い日の温度差が大きく、この気温の変化で体調を 悪くした方もあったのではないでしょうか?
 湿度が高いこの季節に体を冷やすと(エアコンや寝冷え等)、筋肉が大きく縮み、 筋肉の引き攣れや痛みを起こすことがあります。梅雨時は、首の筋違い(首を回すと 痛い)、神経痛(手や足がしびれる)など気を付けましょう。また、この梅雨時は胃 腸も弱りやすい季節です。食欲がない、腹が張る、便がすっきりしない、軟便、腹が ゴロゴロする、などは湿邪に胃腸が負けている証拠です。
 今号では、胃腸の働きと関係の深い、体重の増減、特になかなか太れない人への特 集です。

大りたいけど太れない!
 なぜ太れないのでしょうか? まず、その原因を探ってみましょう。
(1)食欲がなく、食べられない。
(2)食べると気持ち悪くなり、食べられない。
(3)食べているが、太れない。
(4)下痢しやすい。
 (1)(2)の食欲がないや、食べると気持ち悪くなる方は、食べなければいけないとい う義務感が先行していませんか? 食べなければ太れないし元気もでないのですが、 体(特に胃)が食べ物を受け入れる態勢になっていなければなりません。体重の急激 な減少は、内臓の病気(ガン等)が原因となることもありますが、検査して異常がな ければ、心配する必要はありません。太りたい人は、「食べなければ…」という気持 ちが強すぎて、食べることの喜びや楽しみが薄れているようです。また、配偶者や家 族が「食べろ食べろ…」と言い過ぎてはいけません。さらに食欲がなくなるものです。
 (3)の食べても太れない人や(4)の下痢しやすい人は、消化と吸収の働きが弱いから です。これらの働きを高めなければなりません。また、

消化吸収が弱いことを自覚して、なるべく温かく消化に良いもので、良く噛んで食べ るようにしましょう。

 摂食障害−拒食症
 拒食症や多食症(過食症)が良く見られる摂食障害の例です。拒食症は、やせ願望 の強い若い女性にみられる神経性食欲不振症から起こる場合が多いようです。神経性 食欲不振症とは、極度のストレスや異常なやせ願望から、食欲がなくなり、次第に本 当に食べれなくなり、ついには体が食べ物を受け付けなくなり、極度にやせてしまう ことです。このような状態になると、情緒が不安定になりやすく、低血圧や低体温、 さらに不眠や脱力感を訴える場合もあります。女性の場合は、生理が止まってしまう こともあります。また、多食症は摂食中枢の異常により、食欲が異常に冗進していく ら食べても満腹になりません。

痩せると“スリム”
 「痩身美容」といいますが、「痩せる」はやまいだれをもった漢字です。 痩身とは本来病的にやせるという意味です。美しく健康的にやせることではないので す。(健康的にやせる意味の漢字別にあり)古くからの日本語の使い方では、やせる ということは病的で否定的な意味でした。
 ところが、スリムとかスマートといった言葉が輸入されてから、日本人の身体観が 大きく変わったように思います。本来スリムは細くきゃしゃな意味、一方スマートは 粋であかぬけている意味です。この二っが同時に使われたり、混同されることによっ て、日本語になったスリムという言葉は、細くやせていて格好良くおしゃれであると いう意味になったようです。

東洋医学で治す拒食症
 東洋医学では、「心身一如」(心と体は一つであり切り離すことはできない)の発 想が基本にあります。心が病めば体も病み、また体が病めば心も病むということで、 神経性食欲不振症はまさにこれにあてはまる病気です。自分の体や食事に対する誤っ た認識(心)が、自分の体(身)を蝕み、その病んだ体がさらに心を歪めてしまい、 悪循環に陥ります。最後に、
 「知足安分」
(足ることを知り、その分限に満足すること)。
 食べるは
    楽しい


[診療時間] 午前10〜13時/午後2〜7時、但し火・木・日は午前のみ/ 月曜日休診

ああ疲れた![特集]疲労
 疲労は病気とは言えないまでも、生産活動を妨げ、いわゆる生活の質(クオリティ ー・オブ・ライフ”QOL)を低下させる大きな原因になります。休息をとれば回復 するはずの疲労が、いくら寝ても疲れがとれないのはどうしてでしょうか?
 そこでだるさ疲労の原因を考えてみましょう。
疲労の原因
(1)肝の働きが弱い
 目が疲れ、首肩が凝り、睡眠不足な生活を送っていると、その疲れは徐々に肝臓に たまってゆきます。肝臓は物言わぬ臓器ですので、症状が出にくいものです。しかし 、気力はあるが何となくだるく夕方頃そのピークを向かえる、あるいは酒アルコール 類に弱くなるなどを感じてきたら、肝臓のお疲れサインが点滅中です。また、顔色が 赤黒いのもそのサインです。
[対処法]
 肝臓は、血液を解毒し、体内の疲労物質を分解するところです。肝臓が疲れ働きが 悪くなると、これらの解毒や分解作用が低下し、目や首肩などに汚れた血液が滞るよ うになります。鍼灸治療は、このように滞った血液を流し去ります。そして、漢方薬 が疲れた肝臓をいたわり、働きを高めてくれます。

(2)胃腸の働きが弱い
 朝からだるく、気力がでない、手足が重だるく、また顔色は青白いような人です。 女性の場合、低血圧で貧血ぎみ、時にめまいや立ちくらみを起こすこともあります。
[対処法]
 夜遅い時間の飲食はやめましょう。胃腸に負担を掛け、朝のだるさを憎悪させます 。また、腹八分目と早寝早起きを心掛けましょう。だるさに負けないよう、適度に体 を動かしましょう。

(3)腎の働きが弱い
 顔色が黒ずんできて、むくみやすく、だるさはかなり強くなってきます。特に、腰 付近の皮膚が黒くなり、重く鈍痛を感じるようになります。また、精力が減退し欲求 も減少してきます。

  自分でできる
 即効指圧 その16
   疲労
気疲れ わきの下より少し上の高さで、背骨より指先3本分外側の心兪 (しんゆ)と6本分外側の神堂(しんどう)を指圧棒や家具の角で押します。
目の疲れ 頭の後ろにある2本のすじの一番高い所を越えたすぐにある天 柱(てんちゅう)とその外側指二本分にある風池(ふうち)を指圧します。
民間薬 その6
 枸杞子 クコ

疲労回復や体力増強、顔色悪く痩せている人。[枸杞酒]枸杞子(200g)・氷砂 糖(2〜300g)・焼酎(1.8L)をニヵ月漬け込み、毎日盃一〜ニ杯。
[対処法]
東洋医学では、腎は水分の代謝や排泄の働きだけではなく、生殖機能や生命のエネル ギー(精)が宿る臓器と考えています。このような重要な臓器が疲弊してしまうと、 まさに生命のエネルギーが枯渇し、生命活動が危うくなります。早めに対処しましよ う。

(4)気疲れ
 ため息やあくび、肩甲骨の間の凝りや詰まりは、気疲れの現れです。そのままにし ておくと、肩や首の凝り、頭痛、食欲不振、空咳などの症状が発生します。
[対処法]
 気は、常に体の中を滞ることなく、めぐっていなければなりません。気疲れを感じ たら、早めに気分転換をはかりましょう。
    《あとがき》
 光和堂通信お蔭様で16号。ネタ不足なこの頃。健康や病気に関する質問、その他 ご意見ご要望、奇抜なアイデアなどありましたらお寄せください。


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