ですが、慢性疼痛の場合は、この一連の反応が、
逆に患部の痛みを憎悪させ、治癒を遅らせます。
この痛みの悪循環をスタートさせる、最初の痛
みの原因は、各個人で異なります。頚椎や腰椎へ
の負荷が、神経に障って最初の痛みをスタートさ
せる場合や、更年期などに起こるホルモンバラン
スの乱れによって、肩や腰の筋肉が異常に緊張し
て痛みを発生させる場合があります。さらに、へ
ルペス(帯状疱疹)による神経へのダメージが残っ
ており、それが冷えなどで痛みを発する場合など
が挙げられます。
痛みには必ず原因がある!
治療には、まず痛みの悪循環をスタートさせる
最初の痛みの原因を見つけ、これを止めることで
す。一般に、この痛みの原因を探すのは容易では
ありません。でも、原因のない結果はありません
から、痛みの原因は必ずあるのです。決して「気
のせい」ではないのです。また、見つかってもす
ぐにその原因を改善できない場合もありますが、
めげずに治療を続ければ必ず治ります。
痛みの悪循環を断ち切る
次に、痛みの悪循環を断ち切ることです。スタ
ーターである痛みがなければ、この悪循環は進ま
ないのですが、一力所でも痛みが発生してしまう
と、連鎖反応的に痛みの悪循環が始まり、あちら
こちらが痛くなってしまうのです。この痛みの悪
循環は、一度始まってしまうとなかなか止められ
ません。そこで、スターターとなる痛みの原因が
改善されるまでは、痛みが起こってもなるべく軽
度な状態に抑えることです。感じる痛みが小さけ
れば、痛みの悪循環によって増幅される痛みも小
さくなります。実は、痛みは、環境や時間、心理
状態などによってその感じる強さが異なるのです。
ですから、なるべく痛みを弱く感じる状況に自分
をおくことが大切です。
痛さは状況によって変わる!
強く感じさせる |弱く感じさせる
寒冷 | 温暖
低気圧 | 高気圧
夜 | 昼
不安・恐怖 | 安心・安全
いらいら・怒り | 楽しい・気楽
不快 | 爽快
悲しみ・孤独感 | 理解・共感
このような要因によって痛みの強さが変わって
きます。痛みがなくなるまでは、これらの要因を
念頭に入れて、上手に痛みと付き合っていくこと
です。