光和堂通信 第26号2002年冬季号(Vol.7,No.2) 2002.01.12
[予防と早期治療のために]

新年明けまして
 おめでとうございます

 初詣は行ってきましたか? 今年も人出が多かったでしょう。このところの景気や 世相の悪さを思うと、神頼みしたくなります。私は、ここ数年冬至にお参りをしてい ます。冬至を一年の初めとする冬至正月とする風習があります。この日に一年の願掛 けをすると、この日から少しずつ日が伸びていくように、願いも叶うほうへ少しずつ 伸びてゆくと云われています。太陽が最も低く昼間が短いこの日が一年のスタートで あり、願い事をするのによいわけです。正月三が日のような混雑はありませんので、 神頼みもよく届くような気がします。
 さて、祈祷や神頼みによって病気は治るのでしょうか? そんな研究を科学的に証 明しようとしている研究者もいますが、なかなか容易にはいかないようです。しかし、 期待と希望を持って病気を治そうとする気持ちが、病気の種類によっては大きな治療 効果を発揮することが科学的にも証明されています。「信じるものは救われる」とい いますが、これを実証したわけです。このことは、実はプラセボという偽薬の研究か ら明らかにされてきたことです。

*プラセボは期待と希望をもたらす
 薬の有効性を調べるために、臨床試験といって患者さん(時にはお医者さんも)を グループに組分けして、本当の薬と偽薬を服薬してもらいます。そして、その結果を 本物の薬と偽薬を服用したグループでそれぞれ比較します。すると、場合によっては 両者で差がなかったり、むしろ偽薬の方が効いたりすることがあります。特に心理的 な要因が強く関与する病気(うつ病や胃潰瘍など)でそのような結果が報告されてい ます。
 病気には、検査数値やレントゲンなどの客観的なデータだけで理解できないものも あります。「病は気から」というように、微妙なこころの状態が、病を快方にも悪化 にも仕向ける可能性があるのです。そこで、病気治療や薬の
服用に際して、気持ち良くしかも快方への確信を持っておこなえるようにしたいもの です。

*感情とからだの働き
 こころの状態は感情と深い関係があります。東洋医学では、七情といって「怒・喜・ 思・憂・悲・恐・驚」を取り上げ、それぞれの感情がからだにどのような影響をおよ ぼすかを経験の蓄積から論じています。今回は、「怒」と「思・憂」を取り上げます。

*怒りとイライラ
 正月早々怒っている人は少ないと思いますが、このところイライラすることが多く ありませんか? むかつくとかキレルなどもこの「怒」の感情に該当します。怒りを 外に出せる場合はよいのですが(爆発ではなく小出しがよい)、イライラして怒りを 内に秘め我慢している状態が一番よくありません。
 この「怒」の感情は、肝臓を傷め、胆のうの働きを阻害するように作用します。肝 臓は血液を蓄えながら解毒するところです。よって、肝臓の働きが邪魔されると、解 毒されていない汚れた血液が体内に放出されることになります。その結果、筋肉がす ぐに疲労し、こりや痛み引き攣れ、さらに腱鞘炎や関節炎などが起りやすくなります。 また、眼が疲れ視力低下や充血が起りやすくなります。胆のうでは、胆汁の分泌が悪 くなり、場合によっては胆石を作ります。

*慢性肝炎・胆石にイライラは禁物
 慢性肝炎の方、胆石のある方は、この「怒」の感情に注意しましょう。イライラし ていたら、決してよくなりません。
 イライラ感は、自分の意図する方向にものごとが進まない時に生ずるものです。周 りが思うように動いてくれないとか、自分の気持ちを少しも理解してくれないなどと いった状況で起る感情です。意外とその状況に気が付かず、頭に血がのぼってひとり イライラしていることがよくあるものです。できるだけ冷静に状況を察知し、相手 に改善を求めたり、自己変革することも必要かもしれませんが、考え方を変えるだけ で、イライラ感が半減することもよくあります。

*憂いと心配
 「思・憂」の感情は胃の力を削ぎます。胃は食べ物を一時蓄える袋で、その中で消 化液を出しながら捏ねて、食べ物のエネルギーを吸収するための下ごしらえをすると ころです。憂い心配していると、胃袋はその力が低下し捏ねられなくなり、垂れ下が るように元気がなくなります。当然食欲が減退します。そこに無理に食べ物を押し込 んだり、不規則な時間に食べたりすると、胃の働きは狂い慢性胃炎や胃潰瘍を起すの です。
民間薬 その16
『せんぶり 千振』

日干しにした全草を煎じる。
胃弱、消化不良、食欲不振に。


漢方薬局  光和堂  鍼灸治療
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*胃下垂・胃弱は心配禁物
 胃下垂や胃弱の人は、この「憂」の感情に注意しましょう。思い煩っていると、必 ず胃炎や胃潰瘍になります。不安になって色々なことを考え惑って意を決することが できないような時があります。胃下垂や胃弱の人はどうやらこれに陥りやすいようで す。そんな時は、一度考えを中断してみましょう。一時的に意を決しないという結論 もあります。

「気」の健康十則
「気の健康と開運法」根本幸夫著より

一、 自分の健康は自分で守れ
二、 彼(敵)を知り、己を知れば、百戦危うからず 「孫子の兵法」
三、 体の設計図は親の遺伝であり、体を構成する材料はすべて食物である
四、 体を車にたとえるなら運転手は心である
五、 命の気は大気・水・食物によって造られる
六、 体を健康に保つには、食と運動と睡眠に気をつけよ
七、 体に栄養が必要であると同じように心にも栄養がいる
八、 病気はこれまでの生活の決算であり、将来の健康に対する信号である
九、 病気はいきなり発するものではない。必ず予兆があり、それを知ることが未病 を治すことである
十、 病気を治すには、まず心を治し元気にすることが必要である

*胃潰瘍・十二指腸潰瘍
 胃に入った食べ物は、塩酸による強い酸性の胃液によって消化されます。この強い 酸に耐えられるように胃の壁は丈夫にできているのですが、やはり生身のからだです からあまり長い間この強い胃酸に曝されていると、胃壁が傷つけられてしまいます。 これが胃潰瘍です。その傷ついているところに、強い酸性の胃液がさらに滲みてくる のですから、その痛みは強烈です。それを繰り返していると、胃壁は爛れてきて、そ れがさらに進むと深く胃壁が抉られ、痛みとともに出血し、吐血や下血を起すのです。
 食事の前後で痛みを発するのも特徴です。空腹時に痛むのは一般に十二指腸潰瘍で、 この場合は胃に食べ物を入れて胃酸を中和すると楽になります。また、食後に痛む場 合は胃潰瘍で、食べる量をコントロールしましょう。

自分でできる 即効指圧 その26
〜 胃潰瘍・慢性胃炎 〜

胃痛  背中と腰の間にある胃愈(いゆ)を指圧します。
お灸もよく効きます。さらにここにホカロンを貼 る と胃が楽になります。
胃部不快感・胸焼け  膝下の外側にある陽陵泉(ようりょうせん)を指圧します。強く押した時の痛みが なくなるまで

*胃壁を完全に修復する
 胃潰瘍の治療には根気が必要です。胃痛が止まったからといって、服薬や治療をや めてしまうと、またすぐに再発します。胃壁は消化の度に過酷な酸性の状態に曝され ますので、一度傷ついてしまった胃壁を完全に修復しないと、またすぐに傷口が開い てしまうのです。

*慢性胃炎
 慢性胃炎は、胃潰瘍の前駆症状としての胃酸分泌過多や、胃の捏ねる力である蠕動 運動の低下が原因します。食べ物が胃に停滞し、胃部が重いような不快を感じ、胸焼 けや食欲不振を起します。
 胃弱や胃下垂のタイプの人は、慢性胃炎になりやすいので注意しましょう。また、 背中の慢性的な張りやこりが原因の場合もあります。胃を緊張圧迫させて働きを悪く するのです。

*胃の働きを高める
 慢性胃炎の方は、胃が石のように重く感じ、鳩尾から下を押すと硬くなっています。 とにかく胃が楽に十分に動き働けるような環境を作ってあげなければなりません。

   《 お知らせ 》
 二月二十一日(木)より漢方とツボのセミナーを開講します。毎月第三木曜日開催予 定。三時から五時まで。
 おいしくて体によい「人参飴」を韓国より取り寄 せま した。 どうぞご賞味ください。
 今年もよろしくお願いします。


光和堂通信 第26号2002年冬季号(Vol.7,No.2) 2002.01.12
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