光和堂通信 第27号2002年春夏季号(Vol.7,No.3) 2002.07.12
[予防と早期治療のために]

 猛スピードの春の到来に、桜をはじめに、つつじに藤と大忙しの開花となりました 。椿とつつじが一緒に花開いているなどと、感心している間に、春が過ぎ、ついに夏 が到来してしまいました。今号は春夏合併号です。季節の変化についていけなかった 光和堂通信ですが、皆様の身体はいかがでしたか?

 そこで、今回はまず気温など季節の変化によって、私たちの身体はどのように調整 されているのかを見て行きましょう。

◆ 季節変化と身体調節
 今年の二〜三月頃は、血圧が変動し、一時的な高血圧になった方が多くおられまし た。体のふらつき・めまい・頭痛・肩こり・鼻血などの症状が起り、血圧を測ってみ ると、180や200近くあった方もおりました。このような症状は、各々の体調も ありますが、今年の春の急激な気候変化が、最も大きく関与していたようです。
 今年の春は早くしかも急に暖かくなったので、私たちの体も新陳代謝が急激に活発 になりました。ところが、気持ちの上ではまだ寒いというイメージを持っていたので 、体は冬場のように硬く血管や筋肉も収縮したままです。そこに春の陽気に乗った血 液が勢いよくドッと流れて、硬く細い血管を押し拡げようと圧力をかけたので、血圧 が上がってしまったのです。しかも、春の陽気は上から来て、足元の地面は冷たいま まなので、身体の理想である「頭寒足熱」とは逆の状態を起こします。それによって 、頭に血が上りやすい状態を作り、鼻血やのぼせ、めまいやふらつきなどを起したの です。
 日本には四季があり、私たちの身体はその変化に対応していかなければなりません が、豊かな自然を楽しむためと思い辛抱しましょう。

◆ 頑張る自律神経を応援する!
 このような外界の変化に対しては、自律神経が働いて体内の環境を調えています。 寒いときは、皮膚表面の毛穴を閉じて、体を丸めて寒気を入れないようにします。さ らに血管を細くして血圧を上げ、筋肉での熱の産生を増やし、寒さに負けないように 体温を上げます。一方、暑いときは、それとは反対に、毛穴を開き通気をよくし、熱 が逃げやすくします。血管は拡張し血圧は下がり、筋肉は緩みます。日頃血圧の低い 人はだるさを感じるかも知れません。さらに、湿度が高いようなときは、体内の水分 を調節するため、汗をかかせます。このように体内環境を一定に保つために、自律神 経は頑張っているのです。
 体力のある若いときは、環境変化に対する適応力や順応力がありますが、加齢とと もに自律神経の働きも衰えてきます。

さらに、寒さ暑さや湿気や乾燥を感知する皮膚 の感覚センサーも鈍ってきます。そこで、気候の変化に対して、衣服や住環境、食事 などで意識的に調整する必要があるのです。
◎ 民間薬 その17
 『サフラン』

陰干し花柱を片頭痛や生理痛に。
花柱五本を一回量で、
熱湯を注いで飲用する。

◆ 熱帯夜は寝違えや手のしびれ!
 七月に入って暑い日が多くなってきました。特に熱帯夜には、首の寝違えに注意し ましょう。汗をかいた後の体は、毛穴が開き皮膚表面が無防備になっています。冷房 や窓から入る朝方の冷風が、皮膚からすっと首の筋肉に入り、筋肉を硬直させ、だる さや凝り、痛みを発生させます。首の周辺は特に汗をかくので、薄い布(手ぬぐいな ど)を首に巻いて寝ると予防になります。汗をかいて、手ぬぐいが濡れたら、取り替 えてください。また、朝起きたときに、手がしびれたり、指が動きづらい人は、やは り汗をかいた後に、冷えが入っているかも知れません。長袖を着て、手や指を直接外 気に触れないように覆って寝てください。
◎ 夏の薬膳:
香鼓入りジャージャーうどん

香鼓(こうし)は納豆を干したようなもの。暑さで胸悶え食欲がない時に最適。タン パク質にアミノ酸も豊富で夏ばての栄養補給によし。香鼓は光和堂にあります。 5 0g/500円

材料(4人分):香鼓大さじ2、豚ミンチ300g、長ねぎ半本、生姜少々、にんに く1〜2片、赤だしみそ300g、みりん少々、サラダ油大さじ5、野菜(キュウリ 、キャベツ、セロリ、ニンジンなど冷蔵庫にある野菜適量)、うどん4玉
1、香鼓を洗い、硬い場合は水につけて軟らかくする。
2、鍋にサラダ油を入れ、小口切りにした長ねぎ、みじん切りにしたショウガ、にん にくを炒め、香りが出てきたら豚肉を加える。
3、肉の色が変わったら(1)の香鼓を加え、次にみそを入れてよく炒める。
4、茹でたうどんを器に盛り、千切りにした野菜と(3)を大さじ2くらいのせれば 出来上がり!


漢方薬局  光和堂  鍼灸治療院
【受付時間】火・木・日曜は午前部のみ
午前部:10〜12時/午後部:2〜7時
【月曜・祝日休診】

◆ つらい慢性頭痛
 風邪や二日酔いなど、だれもが一度は頭痛を経験したことがあるでしょう。このよ うな一過性の頭痛は、その原因となる風邪や二日酔いが解決すれば緩和されていきま す。それに対して、慢性的な頭痛に悩んでいる―いわゆる頭痛持ち―の方はかなり多 いようです。
 一説によると日本だ けでも一千万人いると いわれ、おおよそ10 人に一人は慢性頭痛に 悩まされているという ことになります。

◆ 緊張型頭痛
 肩こりを伴い、後頭部から頂頭部、さらに前頭部にかけて痛み、締め付けられるよ うな痛みで時にガーンと強い痛みが襲ってきます。疲労が蓄積してくる午後から夕方 や、精神的なストレスや緊張をうけたときに悪化します。
原因・ ストレスや緊張、長時間の同じ姿勢や運動不足などにより、筋肉が疲労し硬く緊張し ます。この時、筋肉は酸素と栄養が豊富に必要なのですが、筋緊張により血管も収縮 し、それらが十分に届きません。酸欠で栄養不足の筋肉には、疲労物質どんどん蓄積 され、やがて炎症が起こり痛みを発するようになるのです。
対処法・ 肩や首のこりが溜まる前に、身体を動かし筋肉を解し血行を良くしましょう。肩や首 を冷やさないようにし、少し汗が出るぐらいの皮膚温を保ちましょう。漢方薬では、 葛根湯や桂枝茯苓丸などがよいです。もちろん鍼灸やマッサージ療法も最適です。

◆ 頭痛は病気ではない?
 頭痛では、会社や学校を休みづらいですね。我慢するか、市販の鎮痛薬(バファリ ンやセデスなど)で対処するか。なかなか病院へ行くほどの病気としての認識は低い のではないでしょうか。激しい痛みでも、少し我慢すれば治ってしまう場合が多いの も、自己療法で対処する理由でしょう。

◆ 怖い脳の病気の場合は?
 くも膜下出血では、何の前ぶれもなくハンマーで殴られたような激しい痛みが襲 います。脳出血の場合は、手足がしびれ動き難く、ろれつがまわらないなどの症状を 伴います。

◆ 片頭痛
 こめかみから側頭部にかけて痛み、ズキンズキンと脈打つように痛みます。夜中か ら明け方にかけて、痛みが襲うことが多く、週末など休日に起ることもあります。緊 張から開放された時、息を抜いてリラックスした時に発症することが多いようです。 この頭痛が激しい時は、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。また、音や光に過敏に なることもあります。
原因・ 片頭痛は、血管拡張型頭痛ともいわれます。脳の外側にある血管が脳の刺激によって 大きく拡張し、この拡張した血管が、神経に触り激しい痛みを発するのです。
対処法・ 片頭痛の前兆がある場合は、早めに予防薬や鎮痛薬を服用するのがよいでしょう。鎮 痛薬の連用による胃腸障害や依存が心配な方は、漢方薬をお試しください。呉茱萸湯( ごしゅゆとう)は、吐気や嘔吐など胃腸症状を伴った片頭痛に有効です。

◎ 自分でできる即効指圧
 その27 頭痛
緊張型頭痛  後頭部痛には天柱(てんちゅう)を、前頭部痛には攅竹(さんちく)を指圧します 。筋肉の緊張をじっくり揉みほぐすように。また、患部を温めてもよい。
片頭痛  痛みのある側の風池(ふうち)や天?(てんゆう)を強めに指圧します。脈打つよう に痛い時には、患部を冷やしてください。

 ★ 『休診のお知らせ』
7月14日(日)/7月20日(海の日)
8月11日(日)〜15日(木)
8月25日(日)〜27日(火)

 ★ 『あとがき』
天気がよいとすぐに肌を露出するアメリカ人。
暦による衣替えに慣らされた日本人。季節はずれの天候の多いこのごろ、着るもの に困ります。


光和堂通信 第27号2002年春夏季号(Vol.7,No.3) 2002.07.12
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