光和堂通信 第29号2003年冬季号(Vol.8,No.2)2003.01.20
[予防と早期治療のために]

 謹賀新年

 この冬は、風邪やインフルエンザの当たり年のようです。十一月は雨が少なく乾燥 した天気が続き、十二月が非常に寒かった。これが風邪を流行らせたのでしょう。  鼻やのどに症状のでる風邪、胃腸にくる風邪、さらに悪寒と関節痛の風邪などがあ ります。中でもぞくぞくする強い寒気と節々のだるさや痛みを感じる場合は、インフ ルエンザと考えられます。

◆ 流行るインフルエンザ!

 国立感染症研究所の感染症情報センターによると、年末から年始にかけて、福岡県 、大阪府、埼玉県さらに北海道でインフルエンザの発症が多数報告されました。埼玉 県では、B型インフルエンザといって、主流であるA型とは異なるインフルエンザが 流行りました。九七年の大流行以来、今年は大流行の予想が専門家によって出されて います。今後も注意しましょう。
 インフルエンザは、寒気とだるさから始まり、体の節々が痛くなり、高熱を発しま す。幼児や高齢者では、脳症や肺炎を起こす可能性があります。近年では、病院にて インフルエンザの判定薬を利用して、20分ぐらいで確定診断ができるようになって います。さらに、A・B型両方に効くインフルエンザ治療薬(「タミフル」や「リレ ンザ」)が開発されています。風邪のようで、節々の痛みや寒気が強い時は、早めに 受診しましょう。

光 和 堂 来 院 番 付
 10月〜12月
治  療      漢 方 薬    
 1 
 2 
 3 
 4 
 5 
腰痛 
神経痛
肩こり
背痛 
肩痛 
頭痛 
血行 
腰痛 
動悸 
神経痛
 6 
 7 
 8 
 9 
10 
リウマチ
頚腕症 
筋肉痛 
関節炎 
耳閉  
リウマチ
疲労症 
風邪痛 
背痛炎 
足つれ 

◇ 漢方でインフルエンザに挑む

 インフルエンザの特効薬として一昨年発売された「タミフル」は、今年は品薄で不 足しているところもあるようです。そこで漢方でのインフルエンザの治療を紹介しま す。
 患者:○口△彦 三十九才 男
 主訴:強い寒気・膝と腰の痛み・だるさ
 経過:昨年十二月十七日夕方より、だるさと寒気を感じる。その日は早く床に就く が、明け方まで体が温まらず、翌朝もだるさと悪寒が続く。何となくだるさとともに 、膝や腰の痛さを感じる。すぐに漢方薬(麻黄細辛附子湯)を服用。寒さとだるさで とにかく布団に包まって寝ていたい心境だか、何とか仕事を続ける。二十一日の忘年 会は欠席となる。二十三日やっと休みが来て、午前中寝込みだるさが取れたが、午後 から外出したらまた寒気とだるさが再来してきた。これまで、いくら温かくしても汗 は出なかった。漢方薬を服用し続けて高熱はなかったが、三十七度台はあった。
 五日間悪寒が続き、体がちっとも温まらないので、電気毛布を入れ、パジャマを二 枚重ね着し、さらにトレーナーを着て寝た。やっと待望の汗が出て、体が温まってき た。この日は一晩に二回たっぷりと汗をかき、その度に着替え水分を補給した。これ を二晩繰り返し、やっと悪寒やだるさ、関節痛などはすべて治った。
 漢方薬:だるさと強い寒気に麻黄細辛附子湯を用い、人参湯を併用してだるさと免 疫抵抗力アップを行った。五日目以降は、発汗を促進するため、地竜(ミミズ)エキ スを加えた。
 感想:実は自己治験です。仕事を休まずにインフルエンザと闘ったので、約一週間 かかってしまいましたが、皆さんは真似しないでください。やはり十分に休養をとり 、温かくして寝ることが大切です。また、インフルエンザ発症早期に「タミフル」を 服用すると、二日ぐらいで熱が下がるそうです。早めの受診をお勧めします。でも、 漢方で治したいという方は是非お越し下さい。必ず治して差し上げます。

◇ インフルエンザに効く漢方

 麻黄湯(まおうとう):節々の痛み、悪寒があり汗なく、軽く咳が出て息苦しいよ うな場合に使います。漢方独特の脈診では浮いて速く(数(さく))緊張した脈状を 呈します。インフルエンザの初期によく効きます。多少汗をかくように全身を温かく してください。


漢方薬局  光和堂  鍼灸治療院
【受付時間】火・木・日曜は午前部のみ
午前部:10〜12時/午後部:2〜7時
【月曜・祝日休診】

 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう):強い寒気、ぞくぞく悪寒、関節の痛 み、だるさ、鼻水くしゃみなどの症状によく効きます。脈診では、沈んだ脈状になり ます。インフルエンザ二〜三日目頃で、だるくて起きて いるのがつらい状態です。胃腸の弱い人や日頃体力のない人は、人参湯を併用すると 、新陳代謝を上げ、免疫力が高まります。この薬を飲んで、電気毛布やあんかで温か くしてお休みください。
 真武湯(しんぶとう):悪寒と冷えで蒼白い顔、手足の重だるさが主で、その他め まいや動悸、あるいは下痢腹痛などが併発することもあります。脈はやはり沈んだ状 態です。高齢者やだるさが強く弱っている人には人参湯を併用します。
 地竜(じりゅう):ミミズを乾燥させたもので、解熱や筋肉の痛みを取る作用に優 れています。寒気が強く、なかなか身体が温まらず汗が出ない時に使います。これを 服用すると汗が出て、熱が下がります。子供の高熱で色々な解熱薬を飲んでも効かな い時に、是非お試しください。脳症や脳炎を誘発する恐れもありません。

◆ 子宮内膜症

 激しい月経痛や多量の月経血、生理時以外も腰痛や下腹部痛がある人は、子宮内膜 症の疑いがあります。本来子宮内膜にあるべき機能が、それ以外の部位である子宮筋 層や卵巣などに起る病気です。
 子宮内膜の機能とは、排卵と女性ホルモンの働きよって作用する子宮内膜の増殖と 分泌です。この分泌によって子宮内膜は剥れ月経血となるのです。子宮内膜症では、 子宮内膜以外で剥離が起るので、痛みが強く月経血が多くなる訳です。また、卵巣や 子宮の外側で起る場合は、剥離した細胞や血液が溜まって固まりとなり、組織と癒着 してしまうこともあります。このような卵巣子宮内膜症では手術が必要な場合もあり ます。

◇ 現代女性は生涯月経回数が多い

 現代女性は、初潮から出産までの期間が長く、しかも子供を産む数も減っています 。ですから昔と比べると閉経までの月経回数が相当多くなっているのです。近年特に 20・30代の女性に子宮内膜症が増えているのは、このような月経回数の増加によ るのではないかとも考えられています。

◎ 自分でできる即効指圧
   その29 生理痛
下腹部痛  太ももにある血海(けっかい)をよく揉み解します。血海という名前にあ るように月経過多にも効果があります。
生理時腰痛  腰の志室(ししつ)あるいは三焦兪(さんしょうゆ)付近の硬結した所 を親指で指圧します。また、お灸がよく効きます。この付近を温めると楽になります。

◇ 子宮筋腫と合併することも

 子宮体部にできる子宮内膜症を子宮腺筋症と呼び、30・40代の女性に多く、子 宮筋腫と合併することもあります。この場合は、月経血の量がさらに多くなり、慢性 の貧血を起すことがあります。

◇ 漢方で治す子宮内膜症

 折衝飲(せっしょういん):強い生理痛(下腹部痛・腰痛)を目標にします。子宮 腺筋症や子宮筋腫によいです。
 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):生理時の下腹部痛と足腰の冷えを目標にし ます。卵巣子宮内膜症や卵巣のう腫によいです。
 温経湯(うんけいとう):月経血が多く貧血ぎみで、帯下(おりもの)がある人に よいです。
 弓帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう):月経が止まらない、あるいは不正出血が 続き、貧血を起している人によいです。

 ★ 『お知らせ』
三月に店舗ならびに院内改装工事を行ないます。 ご迷惑をお掛けするかもしれません。 

今年もよろしくお願いします。


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【光和堂通信】 第29号 号外 2003/02/11
花粉症対策   − 漢方とツボで治す −

 今や春の国民病となった花粉症。国の植林政策やディーゼル車の排気ガスを恨んで もだめ。でも、あきらめずに漠方とツボを使って花粉症に挑みましよう。

[漢方薬]
小青龍湯
(しょうせいりゅうとう)
クシャミ・鼻水(とめどなく出る多量の鼻汁)・涙・よだれ
桂麻各半湯
(けいまかくはんとう)
赤く熱っぽい顔・顔や身体の痒み
麻黄附子細辛湯
(まおうぶしさいしんとう)
クシャミ・鼻水・微熱・だるさ・無気力
苓甘姜味辛夏仁湯
(りょうかんきょうみしんげにんとう)
クシャミ・鼻水・疾・息切れ・胸苦しさ・顔色悪い
荊芥連翹湯
(けいがいれんぎようとう)
鼻づまり・のど腫れ・目充血・痒み
辛夷清肺湯
(しんいせいはいとう)
鼻づまり・鼻のど乾燥

[ツボ]
合谷(ごうこく)…鼻のど粘膜の炎症に。
<親指と人指指の間を強く押して下さい>

上星・迎香(じょうせい・げいこう)…鼻づまりに。
晴明(せいめい)…目の充血痒みに。
<痛さを感じるくらいやや強く圧して下さい>
風門・肺兪(ふうもん・はいゆ)…鼻水・くしゃみ・咳疲に。
<指圧又はカイロなどを貼って温めるのもよい>

[食養生]
 花粉症では、鼻や目の粘膜が炎症と充血を起しています。以下の食べ物は粘膜を炎 症させ易く充血を促進し、花粉症を治し難くしますので控えましょう。
野菜・果物・海草・ミネラル類は炎症を抑える作用がありますので、多めにどうぞ。

  × 刺激物(チョコレート・コーヒーなど)
  × アルコール類(日本酒・ビール・ウィスキーなど)
  × 油脂類(バター・チーズ・ピザ・スナック菓子など)
  × ナッツ類(ピーナッツ・アーモンドなど)
  × 香辛料(唐辛子・コショウなど)

[日ごろ養生]
 花粉症などのアレルギー疾患は、風邪を引いた後に発症する場合が多いです。
これは風邪の細菌やウイルスによって、免疫力が高まりそれにともなってアレルギー を引き起こす抗体が増えるからです。風邪の予防と早めの対処に心掛けましよう。


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