【光和堂通信】第31号2003年夏季号(Vol.8,No.4)2003.08.05
[予防と早期治療のために]

暑中お見舞い申し上げます。

 お蔭様で、光和堂に通所介護部門が併設されました。介護保険で利用でき、送迎や 食事も提供しております。通所介護(デイサービス)の内容は、機能訓練(リハビリ)が 中心です。痛みや麻痺によって体を動かせない方でも、鍼灸やマッサージを併用する ことによって、関節や筋肉の状態を向上させ、自力で日常生活が出来ることを目指し ます。また、痛みが治まった後でも、再発予防や旅行・スポーツを楽しむために、筋 力や体力を養っておくことは、高齢者にとっても大切です。
 痛みや病気から開放され、少しでも楽しい生活が送れるように、皆様を応援してい きます。

◆ 脳卒中の死亡率は減ったけど・・・

 長い間日本の死亡原因の1位だった脳卒中(脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血など) は、70年代をピークに80年代からは減少し、近年はガン・心臓病に次いで第3位 になりました。
 CTやMRIなどの脳内部を診る医療機器の普及と、降圧剤の利用による血圧管理 が徹底され、予防しやすい脳出血が減少したからです。ところが脳の血管が詰まる脳 梗塞は減少せず、やや増加の傾向にあるのも事実です。
 脳卒中全体の統計的な死亡率は減少しましたが、脳卒中の発症は決して減少してお りません。むしろ死亡する確率が減少した分、脳卒中の後遺症で悩まされる人は増え ているのです。
 麻痺や感覚異常による歩行や日常生活の障害や、構音障害によるコミュニケーショ ン障害、さらに痴呆症状の発現により、介護が必要な状態の方は増えているのです。 介護保険によって要介護認定を受けた方のおよそ3割が、脳卒中による麻痺が原因で す。

◇ 脳卒中とは?

 脳卒中は、脳出血・クモ膜下出血・脳梗塞の大きく三つに分類されます。脳出血は 脳の血管が破裂して、脳内にドッと高い圧力で血液が流れるので、急激に頭痛や吐気 を起し、意識を失い倒れることがあります。
 クモ膜下出血は、脳の表面にある血管が破れ、脳表面を覆っているクモの膜下で出 血します。殴られたような激しい頭痛が起り、何時間経ってもその痛みが軽くなりま せん。
 一方脳梗塞は脳の血管が詰まり、脳細胞に新鮮な血液が行き渡らなくなり症状を発 生します。 この詰まりが、一時的に起ったものを一過性脳虚血発作と呼びます。

◇ 脳梗塞によい漢方薬
冠心調血飲
(かんしんちょうけついん)
 心臓の働きを高め、血液の流れをよくして、動脈硬化を防ぎます。血圧が高く頭痛 や肩こりがある方に最適です。

地竜(ぢりゅう) ミミズ
 本来解熱薬として使われていますが、脳梗塞の予防や血栓を溶かす作用があり、近 年注目されています。

◎ 民間薬 その19
『何首烏』(かしゅう)
滋養強壮や便通をよくする 作用の他に動脈硬化を防ぐ 働きもある。

◇ 脳梗塞には二種類ある!

 脳梗塞でも、動脈硬化で徐々に血管が詰まってしまう場合を脳血栓、心臓などの脳 以外にあった血液の塊が、脳の血管に辿り着き、そこを塞いでしまう場合を脳塞栓と 呼びます。脳血栓の発現は前兆があり、ゆっくりと症状が現れる場合が多いです。手 足がしびれて力が入らない、めまいがしてものが二重に見える、呂律が回らないなど がその前兆症状です。一方脳塞栓は脳出血と同じような症状が急激にやってきます。

脳卒中
脳出血
脳梗塞脳血栓
脳塞栓
くも膜下出血

◇ ゆっくりと来る脳血栓

 脳血栓は突然起ることは少なく、血管が徐々に硬く細くなり、ある時完全に詰まっ て発症するのです。ちょうど家の水道管が何十年と経ると錆付き流れが悪くなり、あ る時水漏れを起すことによく似ています。そこで脳血塞の予兆を知り、早めに対処し ましょう。
 「朝起床時に手足がしびれているのに気がつきます。夕方になりその手足に何とな く力が入りません。一晩寝れば治るかなと思うけど、翌朝にはさらに手足が脱力して 動き難くなっています。」これが脳梗塞でも脳血栓の典型的なパターンです。

◇ 突然来る脳塞栓

 脳梗塞のもう一つである脳塞栓の場合は、ある日突然やってきます。しかし、心房 細動という不整脈の一種や弁膜症などの心臓疾患を持っている人に起ることが多く、 それ以外の人はあまり心配する必要はありません。心臓のポンプ拍動のリズムが乱れ たり、心臓弁の開閉が不十分であることから、心臓内に血液のよどみができ、そこに 同じ血液が滞留することによって、血の塊ができます。この塊(血栓)が、太い動脈 に乗って脳へ辿り着き、脳の血管を詰まらせてしまうのです。この塊の漂流は気まぐ れで、脳塞栓は突然おこり、時にはその勢いで脳血管を破ってしまい、脳出血を併発 することもあります。すると、激しい頭痛や嘔吐を引き起こします。

◇ 血圧管理だけでは防げない脳梗塞 

 脳出血やクモ膜下出血は、高血圧症の治療つまり降圧剤の服用によって、予防が可 能です。脳の血管にかかる圧力を下げることで血管の破裂を防ぐのです。一方脳梗塞 は、動脈硬化を防ぎ血管が詰まらないようにする必要があります。そのために血液は サラサラとして粘りの無い状態にしておくことが最も大切です。

◎ 自分でできる即効指圧 その31
        脳梗塞後遺症
肘の拘縮  肘の内側にある小海(しょうかい)や曲澤(きょくたく)をよく揉み解し ます。硬く痛いと思いますので、最初は入浴後に始めて下さい。手首内側の大陵(た いりょう)を、手首の屈伸をしながら指圧してください。
指の麻痺  掌の小府(しょうふ)や労宮(ろうきゅう)、親指の腹にある魚際(ぎょ さい)を、それぞれの指を伸ばしながら、よく指圧します。

 食生活に注意するこ とも大切ですが、鍼灸治療もたいへん効果があります。鍼でも三稜鍼といった鍼によ る瀉血療法はよどんだ悪い血を取り除き、頭痛や頭重に速効性があります。また、灸 は血液の流れを促進させます。

◇ 脳卒中のリハビリテーション 

 脳卒中の発作後、検査や応急処置が終わり、症状が安定すれば、早い時期にリハビ リテーションを開始することが勧められています。いつまでも安静にしていてはいけ ません。
 手の麻痺は、脳卒中の発作から1ヶ月以内に動くようになれば、不自由なく使える ようになる可能性が高いです。1ヶ月から3ヶ月までに動き出した場合でも、なんと か使える手になります。足の麻痺は、1ヶ月以内に寝た状態で足を持ち上げられ膝の 曲げ伸ばしができれば、歩けるようになります。なんとか3ヶ月以内にこのような動 作ができれば、杖などを使った歩行ができるようになります。
 リハビリテーションは、地道な努力の積み重ねです。あきらめないで、根気よく続 けましょう。光和堂も応援しています。しかし、麻痺した機能を完全に回復すること は、難しい場合もあります。でも、残された能力を最大限に生かし、再発を予防する ために、体を動かし心身の健康を維持することはたいへん重要です。

★ <お知らせ>
夏休みは8月14日(木)〜18日(月)までです。

鍼灸診療時間
      
午前10〜12
午後 3〜 5
午後 5〜 7
休診 : 月・木曜日・祝日

通所介護(デイサービス)時間
       
午前 9〜12
午後 1〜 5

毎週木曜日も休診とさせて頂きます。よろしくお願いします。


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