成人の場合は、髪のはえ際や鼻の周り、わきの下や足の付根など皮脂の分泌が
盛んな部位に発生します。赤くやや痒みがあり、ふけがでます。脂肪代謝がうま
く行かずに発症しますが、癜風菌(でんぷうきん)(かび菌の一種)などの真菌や
細菌が皮膚に住みつき、なかなか治らず長引く場合があります。漢方では防風通
聖散(ぼうふうつうしょうさん)がよく、脂肪代謝を調整し、皮膚の炎症や痒みを
改善します。
◆ ビダール苔癬
なにか恐ろしい病気をイメージする名前ですが、決してそんなことはありませ
ん。項部にできる湿疹が慢性化し、皮膚がやや盛り上がりカサブタのように硬く
なります。中年期の女性に好発し、ネックレスなどの金属類や、シャンプーやリ
ンス、毛染剤などの化学薬品によるかぶれが原因とされています。接触性皮膚炎
と異なる点は、皮膚炎が慢性化し、苔癬化することですが、この背景には首すじ
や肩の慢性的なコリによる血行障害があるようです。老廃物に満ち汚れた血液が
項部に溜まり、新鮮な血液がめぐってこないので、皮膚が苔癬化するのです。
三陵鍼という特殊な鍼で、患部付近を刺鍼して老廃物の溜まった旧血を取り除
き、血行を促し新鮮な血液がめぐってくるようにします。すると、首肩のコリも
解消され苔癬も徐々に退散していきます。
◆ 貨幣状湿疹
中高年の足の脛付近にでき易く、ちょうど貨幣のような形とサイズです。実は
私の足にも現在発生中で、中高年に仲間入りしたようです。お風呂に入ると激し
く痒くなります。つい掻いてしまうのですが、我慢しないと患部に引っ掻き傷が
でき、そこに細菌が入り込むとさらに悪化し、慢性化します。
皮膚の乾燥や皮脂の欠乏が原因で冬季に発症する場合が多いので、皮膚の保湿
を促し、細菌が入り込まないように、患部を軟膏で保護することが大切です。か
さかさ乾燥して痒い時は、紫蘇の葉エキス入りのクリームがよく効きます。慢性
化して引っ掻き傷ができている場合は、中黄膏(ベルクミン)をお試しください。
細菌感染している場合もよいです。
◆ 蕁麻疹
表皮の下にある真皮には、血管や神経、リンパ管や免疫細胞が存在します。血
管は皮膚の成長や再生のために血液を運び、神経は外部から刺激を感知し身体を
守ります。リンパ管は、リンパ液や免疫細胞を運び、皮膚からの細菌感染を防御
します。このように真皮は皮膚を養い、外敵の侵入を防ぐという重要な役割を担
っています。
ところが、外部からの刺激が強すぎ、過剰に反応し、さらに体内の毒素が多く
なると、この真皮にある免疫細胞である肥満細胞が反応し、ヒスタミンを多量に
放出します。このヒスタミンが痒みを誘起し、血管の透過性を高めて真皮にリン
パ液の貯留をつくり、皮膚が赤く腫れ膨隆してきます。これが蕁麻疹です。