秋といえば芸術。なかでも音楽は一番身近です。光和堂ではクラシックを中心に
音楽を流しています。ヒーリングミュージックもよいのですが、リズムがある程度
はっきりしない音楽では治療を施しにくいのです。マッサージをする時もリズムが
あるとやりやすい。このリズムに合わせると、患者さんの体も自然にその拍子に乗
ってきて、緊張が解けて、無理なくしかも早く凝りがほぐれてきます。
秋といえば食欲でもあります。ところが「食べたくても食べられない」と悩んで
いる人も多いのです。お腹の調子が不安で食べられないといった大腸の病気がある
のです。そこで今号では、食べるとすぐに下ってしまう炎症性腸疾患とおなかが痛
くなる過敏性腸症候群を取り上げます。
◆ 炎症性腸疾患
だれでもおなかを壊す時はあるものですが、体調や食べ物によって一人だけ下痢
するような経験のある人は多いと思います。冷たいものや辛いもの、さらに脂物な
どでも下痢は起こります。食中毒と違って同じものを食べてもなんでもない人がい
るのに自分だけおなかを壊してしまう。私も家族で一人だけ下痢していることがあ
ります。自分では体質的なものと認識していますが、この炎症性腸疾患という病気
を知ると納得させられるところがあります。炎症性腸疾患には潰瘍性大腸炎とクロ
ーン病があり、これらは難病に指定されていますが、日ごろの下痢しやすい体質の
方にも非常に参考になります。
◆ 潰瘍性大腸炎
胃潰瘍という病名はなじみがありますが、潰瘍性大腸炎とは激しいひびきです。
大腸の粘膜が炎症を起し、充血してさらに赤く爛れます。この状態では消化した食
べ物をゆっくりと大腸に保持して、水分を吸収することができないので、すぐ下痢
してしまいます。さらに病状が進行すると大腸粘膜は傷つき剥れ、びらんや潰瘍が
できてしまいます。このときは下痢だけでなく、粘液の混じった粘血便や下腹部痛
が発生します。血便が出るとさすがにだれでも驚いて受診すると思いますが、その
前段階の下痢のレベルではよほど頻回でない限り、正露丸などで自己治療している
方が多いと思います。
◆ クローン病
なにか遺伝子に関係した病気のようですが、クローンとはこの病気を報告したニ
ューヨークの内科医の名前です。断続的に腸に炎症が起こり、その炎症が大腸から
小腸、さらに胃から口腔内まで広がることがあります。