光和堂通信 第3号1996年春季号(Vol.1,No.3)1996.04.20
[予防と早期治療のために]

 春がやってきました。
 桜の花も咲きそろい、あたたかい日差しと、ほのかに香るような風。つい、うとう と眠くなってしまいます。この心地よい天気もつかの間、天候が変わりやすいのも春 の特徴です。このような季節は、人のからだやこころも変化しやすい時です。
 気持ちがイライラしたり、落ち込んだり、また眠れなかったりと、さまざまな心の 病気も起こりやすい季節です。ですから、この時期に、起こった場合は一時的なもの であると、あまり気にしないことが大切です。
 この時期、気になることの一つが、ウエストラインです。薄着になると、からだの あちらこちらのお肉が目立ちます。そこで、今回は、漢方や鍼灸マッサージでのダイ エット法を紹介します。

◆ 特集 夏に向かって!
 東洋医学ダイエット

 東洋医学では、まず太る原因をつきとめることから始めます。その上で、体型や体 質をとらえ、各々の人に適した方法を選びます。

◇ 太る原因別体質チェック
[水ぶとりタイプ]
(1) 体がブヨブヨしている
(2) 小便が少ない
(3) むくむ
(4) 体がだるい
(5) のどが渇く
(6) 汗をよくかく、或いは、なかなか汗をかかない
[脂肪ぶとりタイプ]
(1) 甘いもの好きである
(2) 間食が多い
(3) アルコールが好き
(4) 油ものや肉が好き
(5) 便秘する
(6) タイコ腹
[ホルモンの乱れによるタイプ]
(1) 更年期
(2) 子宮や卵巣の手術をした
(3) 生理不順

◇ 水太りタイプの人へ
 まず、水分をとりすぎてはいませんか?水ブームの昨今、いくら体にいい水といえ ども、自分で代謝できる以上の水を飲めば、体に蓄積され、水ぶとりにつながります。
 中高年以降からは、新陳代謝が低くなりますので、特に注意しましょう。

◇ 脂肪太りタイプの人へ
 便通はいいですか?
 一日に一回の通じは少なくともあるようにしましょう。また、食べ物の誘惑に弱い のもこのタイプの人です。
 おいしいものや大好きなものを食べたときの幸福感は、医学的に体によいとは、言 われています。しかしこの幸福感は、頻繁にあると、体によい作用は薄れてしまいま す。ですから、おいしい物や大好きなものはなるべく我慢して、特別な時にだけ食べ るようにしましょう。

◇ ホルモンの乱れタイプの人へ
 女性にとって、ホルモンのバランスは重要です。生理不順や更年期によって、太る ことがあります。また、子宮筋腫の手術のあとに太り始めることがあります。このよ うな場合には、漢方薬の服用によって、ホルモンのバランスをとりもどすことを、お すすめします。

 自分でできる
 即効指圧 その3 足
足のむくみ・疲れ(1)   足の内側で骨の際にある地機(ちき)、漏谷(ろうこく)。または三陰交(さんいん こう)を親指で指圧します。

足のむくみ・疲れ(2)   足の内側にある復溜(ふくりゅう)、照海(しょうかい)、または足の外側にある崑 崙(こんろん)を親指で押しながら反対の手で足首をまわします。


漢方薬局  光和堂  鍼灸治療院
【受付時間】火・木・日曜は午前部のみ
午前部:10〜12時/午後部:2〜7時
【月曜・祝日休診】

◇ ハリによるダイエット
[全身を対象にする場合]
 先に分類したタイプにしたがい、それぞれの人にあったツボを選びます。新陳代謝 を高めて、血行を促進し、ホルモンバランスを整えます。
[耳バリ]
 胃につながるツボにハリの刺激を伝え、食欲を抑えます。間食を我慢できない人に 向いています。

◇ 漢方薬によるダイエット
(1) 水ぶとり、足むくみ…麻杏意甘湯
(2) 水ぶとり、汗っかき…防巳黄耆湯
(3) のどが渇き水分を多くとる…白虎加人参湯
(4) 甘い物が好きで、間食が多い…越婢加朮湯
(5) 油ものや肉が好き…大柴胡湯
(6) 便秘ぎみ…防風通聖散
(7) 宿便がたまっている…三黄瀉心湯
(8) ホルモンバランス悪い…桂枝茯苓丸

◇ 健康食品によるダイエット
(1) 水ぶとり…はとむぎ
(2) 脂肪ぶとり…トチュウ、霊芝
(3) 間食多い、便通悪い…オオバコ
(4) 甘い物好き…ギムネマ、タマリンド
(5) 更年期、生理不順…マイカイカ、紅花
(6) 血行悪く、便通悪い…ドクダミ

 一年で一番よい季節の春の次には、梅雨という、体が重く、気が滅入ってしまうよ うな季節がやって来ます。そこで、梅雨に備えて、快適に、健康に過ごすにはどうし たらよいのでしょう。

◆ 特集 湿気に負けるな!
 体の梅雨対策
 湿気は東洋医学では、病気の原因の一つととらえ、それを湿邪と呼びます。この湿 邪が体内に入ると、皮膚、筋肉、関節、胃腸、腎臓、膀胱などに、影響がでます。  そこで、次のような症状が出たら、水分のとりすぎに注意し、汗をかくなど、水分 代謝を高めるようにしましょう。

◇ 梅雨負けチェック
(1) 頭が重い
(2) 体が重くだるい
(3) 足がむくむ
(4) 関節が痛む
(5) 食欲がない
(6) しぶり腹、ガスが多い
(7) 水虫
(8) 湿疹

◆ 特集 生活習慣見直そう!
 糖尿病
 現在、日本で、高血圧症の次に、多いのが、糖尿病で、その患者数は一五〇万人を 超えています。現代の特徴的な病といわれておりますが、二千年以上前から、この病 気は存在しました。漢方では、「消渇(しょうかち)」と呼び、糖尿病に対する治療 の長い経験と実績があります。
 原因としては、遺伝的に、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが生産されな くなる場合と、運動不足、過食、肥満による場合があります。前者の遺伝的な場合は、 子供のころに発現することが多く、日本では非常に少ないです。
 一方、食事や運動などライフスタイルに原因している場合が大半をしめます。ここ で、恒例の糖尿病を早く見つけるためのチェック項目を挙げます。

◇ 糖尿病チェック
(1) 背中が張る
(2) 便秘する
(3) 太ってきた
(4) のどが渇く
(5) 小便が近い

 背中には、インスリンを出す膵臓へつながるツボがあります。この付近が、張った り、痛い状態が長く続くと、膵臓の働きが悪くなります。
 そこに、暴飲暴食などが重なると、血糖値がグッと上がります。さらに、その状態 が長く続くと膵臓は、すっかり疲れてしまい、インスリンの出が悪くなり本格的に、 糖尿病におちいってしまうわけです。

◇ 糖尿病の漢方薬
(1) 血糖値がなかなか下がらない…白虎加人参湯
(2) むくみやすい…柴苓湯
(3) 足腰冷え、夜小便に行く…八味地黄丸
(4) 便秘…桂苓加大黄丸

◇ 糖尿病のハリ治療
 先に述べたように、背中にある膵臓のツボを刺激して、インスリンの出をよくしま す。そして、各個人の体質と病状に合わせて、治療をおこないます。

★ 〈あとがき〉
 ダイエットは、あまり無理な目標は設定せずに続けられる程度にしましょう。生活 習慣との係わりが深いので、日頃の生活パターンを変えるような新しい仕事や趣味を 始めるのもよういことです。最後に二言。
 継続はスリムなり。
 「もったいない」その心が太るもと。

(以上)

光和堂通信 第3号1996年春季号(Vol.1,No.3)1996.04.20
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