古代エジプトや中国でも不老不死の薬を求めていたように、人類が誕生した時か
らスタートした永遠の研究テーマといえるでしょう。白内障のように生体に不要な
物質が停留して発症する病気には、漢方では代謝する力を助け高めることで治療し
ます。八味地黄丸には、沢瀉(たくしゃ)や茯苓(ぶくりょう)が水分代謝を促進し、
山茱萸(さんしゅゆ)や牡丹皮(ぼたんぴ)が不要物質の生成を抑えます。
◆ 緑内障は視神経の病変
緑内障は眼の中にあるスクリーン部分である網膜とそこから伸びる視神経に異常
をきたす病気です。視野が狭くなり見え方が変になるのですが、正常な片方の眼で
欠けている視野を補い、異常が気づかない場合が多いようです。高い眼圧(正常眼
圧9〜21�Hg)によって、眼球が視神経を圧迫して障害をおこす場合が一般的
です。
眼圧は、水晶体の前面にある前房(ぜんぼう)での房水(ぼうすい)の溜まり具合で
変化します。房水とは、角膜や水晶体を養う溶液のことで、水晶体を支えている毛
様体で産生されます。正常時には房水は毛様体から絶え間なくしみ出て、角膜と水
晶体を潤し、隅角(ぐうかく)から排出されています。ところが、加齢にともなって
隅角に老廃物が詰まったり、先天的に隅角が狭い場合は、房水の流れが阻害され眼
圧を上げてしまうのです。
◆ 意外に多い正常眼圧緑内障
眼圧が高くない緑内障もあります。これを正常眼圧緑内障と呼び、視野や眼底の
検査で判明し、近年緑内障の半分近くを占めるといわれています。強度近視や低血
圧、片頭痛もちの方で、特に40歳以上の女性に多いといわれていますが、統計疫
学的には実証されていません。視神経が生来弱いことや眼底の血流が悪いことが原
因と推測されています。また、日中は眼圧が正常でも夜間や早朝などに眼圧が高く
なる人もいるようです。隠れ高眼圧症とでもいうのでしょうか?
◆ 鍼灸治療は緑内障の進行を抑える
視野狭窄など視神経が完全にダメージを受けてしまう前に、まず必ず眼科を受診
してください。検査の結果から点眼薬などが処方され、経過を観察するレベルでし
たらまずひと安心です。眼圧が高い人でも、眼圧が正常な場合でも、緑内障の進行
は数年から10年単位であると報告されています。進行させないように上手に緑内
障とつき合っていくことです。
そのために一番大切なことは、眼の疲れを溜めないことです。便利になった現代
社会では情報量の多さと速さは眼を駆使します。人間の情報入力は、眼からの入力
が85%を占めるそうです。テレビやパソコンが無かった時代から比べたら、眼へ
の負担は甚大です。慢性的な眼精疲労の方は本当に多いです。
鍼灸治療は筋肉の緊張を取り血行を促進し、眼に溜まった疲労物質を流し去り、
新鮮な血液を供給します。さらに眼の周りのツボ刺激することによっ