【光和堂通信】第8号1997年夏季号(Vol.2,No.4)1997.07.01
[予防と早期治療のために]

 梅雨時のうっとうしい天気が続いてますが、皆さんお元気ですか?
 今年は、熱かったり、寒かったり、気温の変動が大きく安定しない天気が多いよ うです。このような気候では、神経痛やリウマチなどは、痛みが増強し、悪化しや すくなります。汗をかいたあとに、急に冷えるといった具合ですから、体の筋肉は 伸びたり、縮んだりと過酷な状況にあります。そして、この伸び縮みの幅が大きく なって限界に達したとき、縮んだままになり、引き攣れを起こし痛みを起こします。 これは、首の寝違えによる痛み、肩の痛み、腰の重だるさや腰痛にも言えることで す。
 そこで、今回の光和堂通信では、痛みについて特集します。

◆特集 痛みはさまざま
 まず痛みの原因をみつける

 痛みは、どうして起こるのか?この原因は、かなり解明されています。 その原因を分かりやすく分類すると、次の三つが挙げられます。
1. 筋肉による痛み
2. 神経による痛み
3. 関節による痛み
4. 内臓からくる痛み
5. その他骨折の痛みなど

◆ 首筋・肩・背中・腰の痛み
 首筋・肩・背中・腰の痛みの多くは、筋肉による痛みです。筋肉の疲労や気候の 急な変化による筋肉の引き攣れにより、筋肉がコリ硬くなり、無理に動かそうとす ると痛みを発します。筋肉のコリがいつまでも続くと新陳代謝が低下し、疲労物質 が溜まり、慢性的な痛みを起こすこともあります。

◇ 筋肉のコリ引き攣れによる痛み
 [対処法]

 コリをとることがまず第一です。しかし、コリを触ると「痛い!」と悲鳴をあげ てしまう時は、お灸やハリによる治療が良いでしょう。また、コリが長くあり、痛 みも慢性化している時には、コリを取りながら、血液の循環を良くしていかなけれ ばなりません。コリが取れれば必ず痛みは消えます。それでも、痛みが続くときは、 他の原因が関与しているはずです。

◆ 坐骨神経痛・肋間神経痛
 神経痛による痛み

 筋肉や骨、結合組織や血管が神経に触って起こるのが神経痛です。坐骨神経痛が、 よくみられますが、これは、椎間板ヘルニアや脊椎すべり症などによって起こりま す。腰の付近で起きた脊椎の異常が坐骨神経に触り、その神経の走行に沿って痛み が起こります。一般に腰からお尻、太ももそして脛(すね)にまで痛みが及びます。 整形外科による手術や神経ブロックによる方法もありますが、是非とも針灸による 治療をお勧めします。

◎ 医食同源 その4
 紫蘇(しそ)

* 食あたり毒消しに実(種)
* 咳止めに葉のお茶
* 食欲増進に生の葉

◆ 膝関節症・リウマチ
 関節の痛み

 関節の痛みでは、まず関節が変形しているか、腫れて膨れているか、などに注意 してください。腫れている時は、まず腫れを取るようにします。膝に水が溜まる人 は、水を抜いてもらってよいのですが、なぜ水が溜まるのか、その根本を改善しな いといわゆる癖になり、水抜きを繰り返す事になりますので注意してください。東 洋医学で根本から治療することをお勧めします。その他、体重を減らす、水分を取 り過ぎない、むくみ易くするもち米を多食しないなど気を付けて下さい。  また、よくみられる変形性膝関節症では、膝だけを治療してもすぐにまた痛くな る場合が多く見られます。膝の変形は脚の付け根である骨盤に原因があるときがほ とんどです。腰と骨盤の治療も併せて行うと良いでしょう。

◆ 痛みは内臓の病気を知らせる
○ 背中の痛み→糖尿病
○ 肩甲骨の間の痛み→狭心症
○ 胸の痛み→肋膜炎・心臓病
その他、胆石、肝臓病、ガンなどとにかく、痛みは体の異常を知らせる信号です。 早めに原因を突き止め解消しましょう。

 しかし、慢性的な痛みで困っている人にとって、その痛みをなかなか人に分かっ てもらえないのもつらいものです。現代医学をもってしても、未だ痛みを測ること はできません。 つまり、どのぐらい痛いのかあるいはどのように痛いのかは、器機 では測れないものなのです。どうしても気持ちの要素が、係わってくるわけです。 心と体を一つとみる東洋医学は、痛みを訴える人への心のケアも大切にします。
 今年の五月より「女性のためのセミナー」を開催しております。すでに参加頂い た方もあるかと思いますが、その中で、「女性と漢方」と題して何度か話した女性 の病気について少し紹介します。

◆特集 東洋医学は女性の強い味方
 漢方で治す婦人病 その1

女性の強い味方である理由は、次の三つに集約されます。
1.女性の体では、月経にあるようにホルモンの働きが重要な役割を担っています。 複数のホルモンが複雑に作用しています。この働きを正常に保つためには、バラン スを大切にしなければなりません。漢方を初めとする東洋医学は、バランスを常に 重視する医学です。
2.更年期に特有な不定愁訴は、心と体の不調が渾然一体となって現れます。東洋 医学は心と体を一つと見立てて治療します。体の不調を治しながら、心のケアも忘 れません。
3.妊娠・出産は決して病気ではありませんが、ケアの必要な時です。長い経験の 蓄積である東洋医学は、多くの経験と実績があります。

◆ 更年期障害
 40から50代、閉経を前後にして起こるさまざまな症状を言います。不定愁訴と言 われるように、症状が定まらないのがその特徴ですが、中でも顔や頭など上半身か ら汗が出るのぼせの症状、肩こりや頭痛、めまいやふらつき、足元の冷えや膀胱炎、 さらに落ち込みやイライラなどの精神不安や不眠など挙げられます。

この時期、女 性の体内ではホルモンが入れ替わるわけですが、この入れ替わりに伴って一時的に ホルモンのバランスが乱れることによって、これらの症状は起こります。
 漢方では、血液の循環、気のめぐり、水分代謝の改善の三つをバランス良く整え、 ホルモンの入れ替えをスムーズに行えるようにします。決して更年期は女性の敵で はありません。ある意味で、更年期は体質を改善するチャンスでもあります。更年 期を通して、アレルギー体質から脱却したり、冷え症が治ったり、慢性的な頭痛や 肩こりがなくなる人も多くあります。これを機会に自分の体を見つめ、元気で明る い更年期後の生活を楽しみたいものです。(つづく)

◎ 自分でできる即効指圧 その8
 婦人病

不妊症・安全・逆子
内くるぶしの上3〜4cmにある三陰交(さんいんこう) を指圧または、お灸します。毎日続けてください。
子宮筋腫・生理痛
膝の内側の上5cmにある血海(けっかい)を指圧します。 最初は痛いと思いますが、痛くなくなるまでほぐしてください。

<お知らせ>
 今年度より「女性のためのセミナー」を開催しております。どうぞご参加くださ い。また、講師のボランティアを募集しています。  (以上)

○ 光和堂のホームページが出来ました
http://www2r.biglobe.ne.jp/~kowado/

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